スノーピーク チタントレック900をやめた理由と今使っているクッカー
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チタン信者だった俺がスノーピーク チタントレック900を手放した経緯を正直に語る。軽さ・耐久性・使い勝手の本音と、乗り換え先クッカーの実力まで。
チタントレック900を手放した。チタン信者だった俺が、だ。
7年間、ソロキャンプから縦走登山まであらゆるシーンでチタントレック900を使い倒してきた。スノーピーク信者というより、チタン素材そのものへの信仰に近かった。あの軽さ、無骨なルックス、「本物を使っている」という感覚。それが2024年秋、あっさり棚の奥に追いやられた。
理由は一つじゃない。積み重なったストレスが、ある日の冬キャンプでついに限界を超えた。
チタントレック900を使い始めた経緯
最初に買ったのは2017年。当時35gオーバーのアルミクッカーを使っていて、ある登山仲間に「チタンに変えたら世界が変わる」と言われた。値段は税込み8,250円(当時)。アルミクッカーの3倍近い。それでも買った。
重量はわずか102g。500mlまで対応する蓋付き。収納時にバーナーヘッドがすっぽり入るサイズ感。スタッキングの美しさ含めて、「これが正解だ」と確信した。その後、ソロ装備の中核に据えて、北アルプス縦走でも、冬の奥秩父でも、四国の沢沿いキャンプでも使い続けた。
実際に7年使ってわかったこと
良かった点:軽さと耐久性は本物
102gという数字は伊達じゃない。アルミの同容量クッカーと比べて30〜40g差は、縦走3日目の足に明確に効いてくる。チタンの強度も申し分なく、7年で変形・破損はゼロ。岩の上に落とそうが、パッキング時に多少乱暴に扱おうが、びくともしない。この2点は本当に優秀だ。
悪かった点①:熱伝導の悪さが調理の質を下げる
チタンの熱伝導率はステンレスの約4倍、アルミの約1/10だ。この数字を頭でわかっていても、実際の調理でじわじわストレスになる。
具体的には、バーナーの炎が当たっている底面だけが極端に熱くなる。ラーメンを作るとき、麺が底に触れている部分だけ焦げる。リゾットを試みた日の失敗は今でも覚えている。チタンクッカーはそもそも「煮る」に特化した道具であって、「炒める」「焼く」はほぼ無理だと割り切るしかない。ソロキャンプの食事をシンプルな湯沸かし・インスタント系で完結させるなら問題ないが、少し凝ったことをしたくなると途端に限界が来る。
悪かった点②:飲み物を飲むときに唇が熱い
これは盲点だった。コーヒーを直接チタントレックで沸かして、そのままカップ代わりに飲もうとすると、リムの部分が恐ろしいくらい熱くなる。チタンは熱伝導が低いと言っても、薄肉の縁部分は別の話だ。結局、別途シェラカップかカップを持ち歩くことになり、「ミニマル装備のためのチタン」というコンセプトが崩れた。
悪かった点③:黒ずみと焦げが落ちない
チタンは使っていくと表面が変色・黒ずんでくる。これを「育てる」という人もいるが、焦げ付きがある状態での次の調理は普通に不快だ。アルミのように重曹で煮れば落ちる、というわけでもない。専用クリーナーを使っても完全には取れず、7年目のチタントレック900はお世辞にも「美しい」とは言えない状態になっていた。
決定打:冬キャンプでのある体験
2024年11月、奥多摩でのソロキャンプ。気温マイナス3℃。SOTOのウインドマスターでお湯を沸かして即席ラーメンを作ろうとした。チタンの熱伝導の悪さが低温下でさらに顕著になり、底面だけ焦げて麺が半生のまま残った。疲労と寒さの中で食べる「底焦げ・半生ラーメン」は、さすがに堪えた。そこで決断した。
乗り換えたクッカーとの比較
現在メインで使っているのはEPIgas(イーピーアイ) ATSチタンクッカーMと、サブでスノーピークのアルミパーソナルクッカーセットだ。
EPIgas ATSチタンクッカーM
チタンは捨てきれなかった。ただし、ATSチタンはスノーピークの無垢チタンと違い、アルミとチタンのコンポジット構造に近い設計で熱伝導が改善されている。重量は約118g。チタントレック比で16g増だが、その分、底面の熱ムラが明確に減った。麺が均一に火が通る、それだけで食事の質が変わる。
ただし入手性が悪い。登山ショップでも扱いが少なく、Amazonでも在庫が安定しない。これは正直なデメリットだ。
スノーピーク アルミパーソナルクッカーセット
キャンプ泊(車で乗り入れ)のとき限定で使う。アルミ製で約220g。重量比較では負けるが、熱伝導の良さが料理の幅を一気に広げた。炒飯が作れる、ソースを煮詰められる。「キャンプ飯を楽しむ」という観点では、チタントレック900より明らかに上だ。
結論。こういう人は買い、こういう人は見送り
チタントレック900を買っていい人
- 日帰り〜1泊のトレイル中心で、食事はカップ麺・アルファ米・フリーズドライで完結させる人。湯沸かし特化なら最強のコスパだ。
- 重量を1gでも削りたいUL志向の登山者。102gという数字に代替は少ない。
- キャンプ装備のビジュアルにこだわる人。所有欲を満たす意味では今でも最高の道具の一つだ。
チタントレック900を見送るべき人
- キャンプ飯を料理として楽しみたい人。炒める・焼くは向かない。素直にアルミかステンレスにしろ。
- クッカーをマグカップ兼用で使いたい人。リムが熱くなる問題は構造上どうにもならない。
- 冬キャンプや低温下での使用がメインの人。熱伝導の悪さは低温下でさらに悪化する。マイナス圏では特に注意だ。
チタントレック900は「悪い道具」じゃない。ただ、「何でもできる万能クッカー」でもない。使用シーンを明確にして選ぶ道具だ。俺はそれを理解せず7年使い続け、結局合わなくなった。
買う前に、自分の使い方と正直に向き合え。それだけだ。
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