Sony LinkBuds S 半年使って正直に言う
ながら聴きとANC両立を謳うSony LinkBuds Sを半年間毎日使い倒した。音質・ANC・装着感、良い点も悪い点も包み隠さず書く。買うか迷っている人はこれを読め。
Sony LinkBuds Sは「ながら聴きとノイキャンを両立する」という矛盾した命題に、現時点で最も真剣に向き合ったイヤホンだ。ただし、それが「完璧に解決された」かどうかは別の話になる。
なぜ LinkBuds S を買ったか
去年の春、通勤とリモートワークの割合が逆転した。週3〜4日は自宅、残りは電車で往復90分。この生活になって困ったのが「1本で全部こなせるイヤホンがない」問題だ。
家では作業中にBGMを流しながら宅配便や家族の声にも反応したい。電車では外音を遮断してポッドキャストに集中したい。この2つを満たすには、普通は2本持つしかない。
AirPods Pro 2は持っていた。ANCは最高クラスだが、外音取り込みを常用するには「聴こえすぎる」感があって疲れる。WF-1000XM5は論外で、あの筐体サイズだと長時間装着がしんどい。
Sony LinkBuds Sのコンセプトは「装着したまま環境が変わっても対応できる」。これが刺さった。実売で2万円台前半、ということで試してみることにした。
半年使ってわかったこと
装着感:これは本物
まず正直に言う。装着感だけなら、今まで使ったイヤホンの中でトップクラスだ。
重量は約4.8g(片耳)。WF-1000XM5の約7.3gと比べると体感でわかる軽さで、2〜3時間の連続使用でも耳が痛くならない。イヤーピースもAM(Acoustic Meta)素材を採用しており、柔らかくて耳穴への圧迫感が少ない。テレワーク中に5〜6時間つけっぱなしにすることもあるが、それが普通にできる。この点だけで買った価値があると思っている。
ANC:悪くはないが「最強」ではない
ここが本音の核心部分だ。
ANCの性能はミドルクラスとして及第点。電車の低周波ノイズ(モーター音・レールの振動)はしっかり消える。ただし風切り音と高周波の人声には弱い。カフェの喧騒の中でANCをオンにしても、会話の輪郭は残る。
AirPods Pro 2やWF-1000XM5と比較すると、正直1〜2段階落ちる。この2機種が「外の音が消える」感覚なら、LinkBuds Sは「外の音が遠ざかる」感覚に近い。通勤の地下鉄では十分だが、飛行機や新幹線で使いたいなら他を選べ。
ただし忘れてはいけない。このイヤホンのANCはトレードオフの産物だ。「ながら聴きも、ANCも」という設計思想の中で、この数値は頑張っていると思う。
外音取り込み(アンビエントサウンド):これが真骨頂
ANC評価と逆になるが、外音取り込みの自然さはAirPods Pro 2と並ぶレベルだと感じた。
Sonyはここに「V1チップ」と「QN1eチップ」のデュアルプロセッサーを投入しており、外音取り込み時に音の位相がズレてオクターブ上にずれる「のっぺり感」がない。人の声が自然に入ってくる。自宅作業中に取り込みモードにしておくと、インターフォンや後ろからの声に気づける。
LDST(自動感知モード)という機能もあり、自分の発話を検知してANCを一時的に解除する。コンビニのレジでイヤホンを外さなくていい。地味だが毎日使う機能だ。
音質:フラットよりドンシャリ寄り、でも聴きやすい
ドライバーはφ5mmの小径。物理的な限界はあるが、低音は思ったより出る。ポップス・ロック・ポッドキャストには十分。クラシックや Jazz を高音質で聴きたいなら、別のイヤホンを用意したほうがいい。
LDAC対応なので、Xperia・Walkman・Android端末と組み合わせると音の解像感は上がる。iPhoneユーザーはAAC接続になるが、日常用途で不満は出ないと思う。俺はAndroidとiPhoneを両方使うが、Androidのときのほうが明らかに音の分離感がいい。
バッテリー:公称値と実使用はやや乖離する
カタログスペックはANCオンで最大6時間、ケース込みで20時間。実使用では、ANCと外音取り込みを頻繁に切り替えていると4.5〜5時間に落ちる。テレワーク中の6時間連続使用では一回ケースに戻すことになる。「1日持つか」というと、使い方次第でギリギリ。出張時はモバイルバッテリーを持つ前提にしている。
接続安定性:ほぼ問題なし
Bluetooth 5.2。マルチポイント(2台同時接続)対応。PC・スマホの切り替えが自動でできるのはテレワーカーには必須機能で、LinkBuds Sはこれが普通に動く。半年使って接続が途切れた回数は5回以下。安定している。
AirPods Pro 2・WF-1000XM5との比較
| LinkBuds S | AirPods Pro 2 | WF-1000XM5 | |
|---|---|---|---|
| ANC性能 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ |
| 外音取り込み | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| 装着感 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
| 音質 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
| バッテリー | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| 価格 | 約23,000円 | 約39,800円 | 約44,000円 |
ANCの絶対値が欲しいならWF-1000XM5かAirPods Pro 2を選べ。音質を最優先するならWF-1000XM5一択。LinkBuds Sが勝てるのは「装着感」と「価格」と「ながら聴き用途のバランス」だ。
iPhoneユーザーで生態系に抵抗がないならAirPods Pro 2のほうが総合的に完成度は高い。ただし価格差は1.7倍。その差額をどう考えるかで判断が変わる。
結論:こういう人は買い、こういう人は見送り
買っていい人
- テレワーク中心で「つけっぱなし」の時間が長い人
- 電車・徒歩・オフィスの3環境を1本でカバーしたい人
- 装着感のストレスでWF-1000XM5を断念した経験がある人
- Androidユーザーで2万円台のイヤホンを探している人
- ANCは「そこそこ効けばいい」という人
見送っていい人
- ANCの絶対性能を最優先する人(飛行機・新幹線メインの出張族)
- iPhoneユーザーで予算がある人(AirPods Pro 2のほうが正直いい)
- 音質重視でロスレスに拘りたい人
- バッテリー持ちが1日8時間以上必要な人
6ヶ月使って結局手放さなかった。それがこのイヤホンへの正直な評価だ。「ながら聴きとANCの両立」という命題を完璧に解決はしていない。ただし、その命題に最もコスパよく近づいているイヤホンではある。
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