Logicool MX Master 3Sを1年毎日使った正直な結論

デスクワーカーがLogicool MX Master 3Sを1年間毎日使い続けて気づいた、1万5千円の価値があるかどうかをスペック・体験ベースで正直に結論出す。

Logicool MX Master 3Sは「高いマウスに金を払う価値がある」数少ない製品のひとつだ。ただし、全員にそう言えるわけじゃない。


MX Master 3Sを買った経緯

去年の春、在宅勤務が完全に定着したタイミングで手首の痛みが慢性化した。それまで使っていたのはバッファローの2,000円台のワイヤレスマウス。クリック数でいえば1日に1,000回以上は軽く超える。8時間デスクに張り付いてコードレビューと資料作成を繰り返す仕事上、安物で誤魔化すのに限界を感じた。

候補は3つに絞った。MX Master 3S(実売約14,000〜15,000円)、ロジクールのG304(約4,000円のゲーミング)、そしてMicrosoft Arc Mouse(約9,000円)。結果的にMX Master 3Sを選んだのは、エルゴノミクス形状と電磁気スクロールホイールへの期待からだ。


1年使って気づいたこと

良かった点

電磁気スクロールホイール(MagSpeed)は本物だった

正直、買うまでは「スクロールが滑らか」程度の認識だった。実際は違う。ノッチモードとフリースピンモードの自動切り替えが、長いドキュメントを読む仕事スタイルと死ぬほど相性がいい。Notionで数百行のドキュメントを読み飛ばすとき、慣性スクロールで一瞬で目的箇所まで飛べる。この体験は2,000円のマウスとは別次元だ。

手首の痛みが実際に軽減した

使い始めて2週間ほどで慢性的だった右手首の違和感がほぼなくなった。縦置きマウス(バーティカルマウス)も試したことがあるが、あちらは慣れるまでに時間がかかりすぎた。MX Master 3Sの傾斜角(約20度)は、自然なポジションに近いまま疲労を軽減している。

サイドホイールが思ったより実用的

ExcelとFigmaをよく使う俺には、サイドホイールでの横スクロールがかなり助かっている。最初は「いるか?」と思ったが、Figmaでカンバスを横移動するときに気づいたら毎回使っていた。

Logi Options+のカスタマイズ精度

アプリごとにボタン割り当てを変えられる。Chromeではジェスチャーボタンでタブのスワイプ、Slackではサイドボタンで既読スキップ、という具合に設定してある。このパーアプリ設定の精度が高く、誤作動がほぼゼロだった。

悪かった点・気になった点

でかくて重い。持ち歩きは無理

重量141g、全長126mm。持ち運びには向かない。出張先や外出先でノートPCと一緒に持ち歩いたことが2〜3回あるが、普通に邪魔だった。カフェで使うサブマウスは別に用意している。

Bluetooth接続の初回ペアリングが少し不安定

新しいMacに繋ぎ直したとき、Bluetoothでの再ペアリングが3回ほど失敗した。付属のUSBレシーバー(Unifying/Logi Bolt)を使えば安定するが、USBポートを塞ぎたくない人間としては少し面倒だった。最終的にはBoltレシーバーに落ち着いている。

ソールの滑りは1年でやや劣化

布製マウスパッド(Logicool Desk Mat)上での使用だが、1年経つと購入初期と比べて滑り出しが重くなった気がする。マウスパッドとの相性もあるが、ソール交換のコストまで含めて考えると若干気になる。劇的に悪化したわけではないが、正直に書いておく。

クリック音は静音だが「無音」ではない

3Sの売りのひとつは「90%静音クリック」だが、深夜の静かな部屋では普通に聞こえる。夜中に作業することが多い人には許容範囲だと思うが、「無音」を期待して買うと少しがっかりするかもしれない。


競合との比較

vs. ロジクール G304(約4,000円) ゲーミング向けで反応速度は速い。ただしエルゴノミクスは皆無。長時間のデスクワークには向かない。俺には合わなかった。

vs. Apple Magic Mouse(約12,000円) Macとの親和性は高い。が、充電中に使えない設計は令和の製品として正気を疑う。手首への負担も大きい。Appleエコシステムへの信仰がある人向け。

vs. Kensington Pro Fit Ergo(約8,000円) トラックボール派に人気。手首への負担は確かに少ないが、精密操作の慣れに時間がかかる。FigmaやPhotoshopを使う人には向かないと感じた。

vs. MX Master 3(旧モデル、在庫あれば約12,000円前後) 3Sとの違いは主に静音クリックとトラッキング性能(8,000DPI→8,000DPI据え置きだが感度向上)。今から買うなら3S一択でいい。旧モデルに大幅値引きがなければわざわざ選ぶ理由がない。


結論。「こういう人は買い」「こういう人は見送り」

迷わず買っていい人

  • 在宅・オフィス問わず1日6時間以上PCに向かっている
  • 手首・腕の疲労や痛みを感じている
  • Excelのような広大なスプレッドシートか、FigmaやIllustratorを日常的に使っている
  • 複数のアプリを同時に使い分けるマルチタスク型の仕事スタイル
  • 1万5千円を「2〜3年使えば1日あたり20円以下」と計算できる人

見送っていい人

  • メインの使用シーンがノートPCとの外出先利用
  • ゲーミング用途が主目的(DPIや反応速度に特化したゲーミングマウスのほうが合う)
  • 「マウスなんてどれも同じ」という感覚を崩す気がない
  • 予算5,000円以下で抑えたい(その場合はLogicool M750あたりが現実的な落としどころ)

1年使い続けて出た結論は、「デスクワーカーにとってMX Master 3Sは消耗品ではなく道具への投資だ」ということだ。腰痛持ちがいい椅子を買うのと同じ論理で、俺はこのマウスに15,000円を払ったことを後悔していない。

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